身体的拘束最小化のための指針
- 医療法人正光会 鳥越病院

- 6 日前
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1.身体的拘束最小化に係る基本的な考え方
当院は、患者の尊厳および基本的人権を最優先に尊重し、身体的拘束は患者の自由を制限する重大な行為であるとの認識のもと、その実施は極めて慎重でなければならないと考える。身体的拘束等は、入院患者の生活の自由を制限することで重大な影響を及ぼす可能性がある。
そのため、当院は「身体的拘束を行わない」ことを基本理念とし、やむを得ない場合を除き一切の身体的拘束を行わない方針とする。
また、職員一人ひとりが身体的拘束の弊害を正しく理解し、安易に実施することのないよう常に倫理的視点を持って行動するとともに、患者中心のケアの実践に努める。
2.身体的拘束最小化に向けての基本方針
(1)身体的拘束の原則禁止
身体的拘束およびその他の行動制限は、原則としてこれを禁止する。
(2)緊急・止むを得ない場合の例外三原則
患者または他者の生命・身体を保護するために緊急かつやむを得ない場合に限り、以下の「三原則」をすべて満たした場合にのみ、必要最小限度で実施する。
① 切迫性:本人または他の患者の生命又は身体・権利に重大な危険にさらされる可能性が差し迫っていること
② 非代替性:身体的拘束その他の行動制限を行う以外に有効な代替手段がないこと
③ 一時性:身体的拘束その他の行動制限が一時的であり、必要最小限の期間であること
(3)身体的拘束最小化に向けての取り組みについて
身体的拘束最小化に向けて以下の取り組みを行う。
① 多職種で連携を図る
カンファレンスの実施は複数の職種で行い身体的拘束等についての評価・必要性等を議論する。
各職種は専門とする知識や視点で身体的拘束等禁止に向けた意識を持ち意見すること。
② 背景の理解
対象患者等の問題行動等に至った経緯をアセスメントし記録すること。カンファレンスを通じて各職種が共通認識を図れるようにする。
③ 代替手段の検討
環境調整、ケアの工夫、見守り体制の強化等、拘束によらない方法を最優先に検討する。
④ 早期解除の原則
身体的拘束等は継続的に実施されるものではなく、一時的に行うこととし期間を定め、定期的なアセスメントを行い、継続の妥当性を常に再評価し、可能な限り速やかに解除に向けて取り組むこと。
3.身体的拘束最小化に向けた体制
当院は身体的拘束の適正化を推進するため「身体的拘束最小化委員会」を設置する。
① 委員会の設置目的
・身体的拘束の実施状況の把握・分析・廃止・改善に向けての検討
・身体的拘束を実施せざるを得ない場合の検討
・身体的拘束を実施した場合の解除の検討
・職員からの情報収集と検討結果の周知および教育の推進
② 委員会の構成員
・院長、看護師長、看護職員、薬剤師、その他必要に応じた職種
③ 委員会の開催
・定期開催(年4回以上)
・委員会報告(随時:病棟カンファレンス時 朝の申し送り時 毎月1回院内会議)
・身体的拘束最小化のための研修
医療・ケアに携わる職員に対して、身体的拘束最小化のための研修を実施する。
・入院患者に係る全ての職員を対象に定期的な教育研修(年2回以上)実施
・その他、必要な教育・研修の実施および内容の記録
4.止むを得ず身体的拘束を行う場合の対応
身体的拘束等の判断は医師の指示によるものとし、身体的拘束最小化委員会で検討し必要と判断した場合に本人または家族へ十分な説明を行い、理解と同意を得たうえで行うことを原則とする。
実施中は経過観察記録を行い、早期に解除できるように努める。
(1)身体的拘束の対象となる具体的な行為
① 徘徊しないように車椅子やベッドに体幹や四肢をひも等で縛る
② 転落しないようにベッドに体幹や四肢をひも等で縛るまたは柵をひもで固定する。
③ 自分で降りられないようにベッド柵(サイドレール)や病室の壁で囲む
④ 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように四肢をひも等で縛る
⑤ 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように又は皮膚をかきむしらないように手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける
⑥ 車椅子からずり落ちたり 立ち上がったりしないように腰ベルトをつける
⑦ 脱衣やオシメはずしを制限するために介護衣(つなぎ服)を着せる
⑧ 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる
⑨ 自分の意志で病室の扉を開けないように鍵をかける
(2)カンファレンスの実施
緊急止むを得ない状況になった場合、身体的拘束最小化委員会を中心として、拘束による心身に与える影響や拘束をしない場合のリスクについて検討し三原則の要件を満たしているかを検討確認する。実施すると判断した場合は 拘束の方法、場所、時間帯、期間、リスク等について、本人家族に十分な説明を行い、同意を得てまず試験的に施行し、再度必要と判断した場合のみ継続する。
また解除に向けた取り組みについても定期的に検討し、実施に努める。
(3)本人・家族に対しての説明
身体的拘束についての理由・目的・時間帯・期間、リスク等について説明し十分に理解し承諾が得られるように努める。また、同意期間を越え、なお必要とする場合には状態を説明し同意を得たうえで実施する。
(4)記録
・身体的拘束が必要になった時、看護記録に開始理由・目的・期間等を記録する。
・身体的拘束を行っている間は安全に行われているかを観察し、ミトン手袋着用者は毎日勤帯で皮膚状態について看護記録へ記入、その他の抑制については適宜看護記録へ記入する。
・カンファレンスでの検討内容や決定事項は、カンファレンスノートや看護記録へ記録する。
・身体的拘束委員により委員会開催後に、経過観察・再検討・評価記録へ記入する。
(5)拘束の解除・再開
拘束を実施した場合、解除に向けた検討を少なくとも1日に一度は行なう。
検討結果にて継続の必要性がなくなった場合は、速やかに解除を行う。但し、一度解除されても再度必要と判断された場合、経過を報告し承諾のもと再手続きなく拘束を実施する。
5. 身体的拘束の対象に該当しない行為
(1)身体的拘束に替わって患者の安全を守りADL低下をさせない為に使用するもの
離床センサー(クリップセンサー・フットセンサー・タッチセンサー)
赤外線センサー・徘徊センサー・センサー付きベッド・ドア窓アラーム
(2)検査・治療などの際にスタッフが常時そばで観察している場合の一時的な四肢および体幹の固定
(3)小児科で使用しているシーネ
6.鎮静を目的とした薬物の適正対応
薬物による過度な鎮静は、身体的拘束と同様に患者の自由を制限する可能性があるため、慎重に取り扱う。
不眠や不穏に対しては、まず非薬物的対応を優先し、必要な場合のみ最小限の薬物療法を行う。特にせん妄のリスク、依存性、副作用等を十分考慮し適正使用に努める。
7.身体的拘束最小化に向けた各職種の役割
院長(医師):医療行為への対応、看護師や他種目との連携、院内院外への掲示
看護師長:多職種との連携、医療安全・感染・事故対策、院内院外の掲示
看護職員:状態観察と記録、医療安全・感染・事故対策、他職員との連携
薬剤師:薬物療法の適正管理
その他職種:多角的視点からの評価と支援
すべての職員が共通認識を持ち、連携して取り組む。
8.おわりに
当院では、身体的拘束の判断から実施、評価、解除に至るまでの一連の流れを明確化し、職員が統一した対応を行えるよう運用する。
